地元の思い出1(憧れの立ち食いそば)

おいらの住んでる町は水産で名を馳せた所だ。
マグロやらで頗る儲かり、海を埋め立て、市場を作り、駅を作る。
水産・土建でそれはそれは儲かったそうだ。
そして商店街は活気にあふれ、小さいながらもデパートがあった。

しかしそれは数十年前の話。

今では商店街の6〜7割は店を閉じ、活気のあった商店街は閑古鳥。
土建屋さんは仕事が少ない為か、同じ場所の道路工事を延々としている。

オイラが子供の頃、最寄駅に立ち食いそばの店があった。
子供の頃、電車で親に連れられて駅に寄る時は決まって親に催促しては却下されていた。
オイラは美味そうに蕎麦を頬張るサラリーマンやオバちゃんや学生が羨ましかった。
歳を重ねて、自分でお金を払って蕎麦を食える年齢になる頃、あの蕎麦屋は姿を消した。

駅に寄る機会も少なかったのだが結局あの蕎麦屋で食う事は無かったのだ。
ガキの頃から憧れていたものを、手に入れられる時に手に入れないタイミングの悪さは今も引きずってるなぁ。

元々立ち食い蕎麦って忙しい人か金を節約したい人が食うもんだ。
忙しい町に不可欠なもんだと思う。昔のこの町には必要だったんだな。

考えてみれば、この町に閑古鳥が鳴くようになった時期とあの蕎麦屋が無くなった時期はリンクしてた気がする。
あの、蕎麦屋が無くなった頃から商店街の店が少しずつ減ってきたんだ。

今後オイラの地元は発展する事は無い。
あらゆる山を開発し家を作り完全なベットタウンになっちゃったから…
立ち食い蕎麦なんてもう必要ないんだ。

あの立ち食いそば屋の蕎麦は美味かったんだろうか?